成年後見制度の特徴
1.法定後見
本人の判断能力が衰えてきたときに必要になるのが、成年後見制度なのですが、家庭裁判所に法定後見開始の申立てができるのは原則として四親等内の親族に限られています。また、後見人等になってもらえそうな信頼 できる親族や知人を見つけるのも困難です。
その場合には、弁護士や司法書士などが後見人になるのですが、果たして、本人の意向を充分汲んで事務処理をしていただけるのでしょうか?必ずしもそうでないケースも多いでしょう。それは、本人の法的利益が最優先で、個別の家庭の事情などは優先順位が下がってしまうことによります。
また、家族にも「成年後見人は親族の意向に沿ってなんでも処理してくれる」ものと誤解をされている方が多くいらっしゃいます。このような誤解も成年後見制度の特性なのかもしれません。
2.任意後見
次に、任意後見制度では、本人の判断能力がしっかりしているうちに信頼できる人を受任者として選任し、判断能力が衰えたときに何を頼むか決めて公正証書により契約を結んでおきます。実際に判断能力が衰えたとき家庭裁判所に任意後見監督人を選任してもらうと契約が効力を生じ、受任者は任意後見人となります。
しかし、任意後見制度があまり普及しないのには、本人に充分な判断能力があるうちに契約する必要があるということです。本人に充分に判断能力があると、将来的に、自分の財産の管理を他人に任せよういう気持ちが起こらないようです。そして、いざ本人に判断能力が無くなって来たときにはもう任意後見の制度が利用できなくなっているというのが現状です。