法定後見とは
成年後見制度
遺言や相続対策と併せて、最近よく利用される制度に「成年後見制度」があります。
成年後見制度は、大きく分けて法定後見と任意後見に分けられます。遺言や相続対策で利用されるのは「任意後 見制度」で、本人にきちんとした判断力があり、ご自身の財産の処分方法について明確なご希望があるような場合です。
では、まず法定後見から、次に任意後見をご案内します。
法定後見とは
法定後見は知的障害、精神障害、認知症などにより判断能力が十分でない方が、不利益を被らないように家庭裁判所に申し立てをして、その方を援助する人を選任してもらう制度です。
分かりやすく記すと、「認知証」等の方々の援助制度をも言えます。
後見人の役割
後見人の役割は、主に以下のような内容です。
財産管理 | ①必要な費用の支払い ②預貯金等の入出金のチェック ③不動産の管理 ④不動産等の売却(必要費用捻出のため) ⑤訴訟行為を行うこと(必要がある場合) ⑥確定申告や納税 |
身上監護 | ①健康診断、治療、入院、リハビリ等のための契約 ②住居の確保(賃貸借契約) ③施設などの入退手続き ④病院や施設との様々な折衝 ⑤要介護認定の手続きや役所への手続き ⑥介護サービス事業者との介護サービス契約 ⑦本人の状況に変更がないか「見守り」 |
家庭裁判所への報告 | ①1年に一度の収支報告 ②財産目録の作成 ③財産の処分や財産管理の方針を大幅に変更するとき (遺産分割や相続放棄を含む) ④療養や看護方針を大幅に変更するとき ⑤本人の入院・入所の変更 ⑥氏名・住所・本籍の変更 ⑦成年後見人の住所・氏名の変更 ⑧本人死亡時の成年後見登記申請 ⑨財産の引き渡し ⑩終了報告 |
成年後見制度については、メリット、デメリット両方の側面がありますので、本人の状態や財産の状況等を勘案し、導入について慎重に検討する必要があるでしょう。
申立に必要な書類と費用
法定後見は、本人の住所地を管轄する家庭裁判所に申し立てをします。申し立ての必要な書類と費用は
およそ以下のとおりですが、事案によって多少異なります。
必要な書類 | ①申立書 ②申立人の戸籍謄本1通(本人以外が申し立てるとき) ③本人の戸籍謄本、戸籍の附票、登記事項証明書、診断書各1通 ④成年後見人候補者の戸籍謄本、住民票、身分証明書、登記事項証明書 各1通(候補者がいる場合) ※「身分証明書」とは、本籍地の役所が発行する破産宣告を受けていない旨の証明書です(運転免許証やパスポート等ではありません) ⑤申立書付票 ⑥本人に関する報告書 |
必要な費用 | ①収入印紙(10,000円弱) ②切手 ③登記費用 ④鑑定費用(必要な場合、5万円~10万円程度) |