遺産分割協議後の注意点
遺産分割協議時の約束を守らない?
被相続人Aさんの家族は、Aさんが残した財産を、妻、長男、次男の3人で分ける事になりました。妻は「私はもう高齢なので・・・」と言って僅かな現金を受け取ることとし、長男が土地・建物などの不動産を相続。次男は、預金や有価証券等を相続しました。総合的にみると、Aさんの妻が受け取った分を除くと、長男はAさんの財産の4/5にあたる分を相続し、次男が1/5にあたる分を相続することで話し合いが纏まりました。
ただし、「高齢の母(Aさんの妻)のことは、長男が面倒をみる」という条件で次男は了承したものでした。
しかし、この長男は後日、母を施設に入居させてしまったのです。これに腹を立てたのが次男です。約束が違うので、遺産分割をやり直したいと言い出しました。
長男は、「面倒はみている。施設の入居費用は自分が出している。なにも自宅で面倒をみるという約束はしていない」との主張です。
結論としては、もう遺産分割を終えてしまった以上、この程度のトラブルでは遺産分割をやり直すことはできません。
遺産分割の際に、なにか条件があるのであれば、それは別に「確認書」や「覚書」を作成し取り交すことが必要でしょう。
なお、この後、この兄弟の関係が冷え切ったものとなってしまったことは、言うまでもありません。
※ 相続でトラブルになるケースは、肉親以外(配偶者や知人)が関係するケースが多いようです。また、兄弟
姉妹は仲がよくても、時間の経過とともに状況が変化することもあります。できれば、当初から相続に精通して
いる行政書士等に相談することが賢明でしょう。
不動産を取得した相続人のその後の税金は?
協議分割によって、特定の相続人が不動産を取得することがあると思います。その不動産の価値を正確に判断し、遺産分割としては公平に分割されました。しかしその相続人は、少々不安になってきました。「あれ?税金はどうなるのだろう?」。そうです。不動産を取得した後の税金のことまで頭がまわっていませんでした。
では、相続で不動産を取得した場合の税金について、簡単に見てみましょう。
- 登録免許税:不動産の名義変更をするのに必要。相続の場合、固定資産評価額の0.4%(平成18年4月1日以降)。納付書又は収入印紙で支払います。
- 相続税:これは不動産だけでは算定されず、預貯金などを含め、相続財産が一定額を超えた場合に課税されます。
- 不動産取得税:原則として課税されません。ただし、死因贈与契約や相続人以外の特定遺贈の場合は課税されます。
- 固定資産税・都市計画税:不動産を保有している間、課税されます。その不動産の相続人が確定していなくても支払わなくてはなりません。
なお、古い家屋を取り壊すと建物に対する固定資産税がなくなって安くなる考えがちですが、建物を壊すことにより土地の評価額が上がり、固定資産税が急上昇することがありますので注意が必要です。 - 所得税・住民税:相続後その不動産を売却し、利益が出た場合に課税されます。また、相続物件を賃貸している場合課税されます。